メコン圏が登場するコミック 第11回   

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「美味しんぼ・

   ベトナムの卵

 

 

 本作品の主な登場人物

 

 ・山岡士郎

 ・ゆうこ

 ・ジュディ

 ・団一郎

 ・ダグラス・ニミッツ

 (アメリカの雑誌
 「ニュ
ース・リポー
 ト」に勤務)

 ・グェン・キン・ニュー 

 ・富井副部長

  (東西新聞社文化部)

 ・東西文化部社員たち

 ・文化部部長

 

 本作品の

 ストーリー展開時代

 ・1997年

 

 本作品の

 ストーリー展開場所

 ・東京

 ・ベトナム(ホーチミン)

 

 

 

 

  

   「美味しんぼ -ベトナムの卵ー」  

             【ビッグコミックス・第66集】

        作・雁屋 哲、 画・花咲アキラ

       1998年8月発行、小学館        

          

                          

 

 

 
コミック「美味しんぼ」は、グータラ社員ではあるが食に対する造詣が深い東西新聞文化部の山岡士郎と、山岡士郎の公私にわたる良きパートナーである栗田ゆうこの東西新聞『究極のメニュー』担当記者の2人を中心に、”食”を巡るいろんな世界を描く、1983年から小学館ビッグスピリッツに長期連載されている人気シリーズであるが、本作品『美味しんぼ・ベトナムの卵』は、「美味しんぼ」シリーズで、ホビロンをはじめベトナムの食べ物が取り上げられ、舞台がベトナム・ホーチミンとなった作品。本作品は、1998年8月に発行されたビッグコミックス第66集「”究極の紅茶”に収められているが、第66集の作品の初出は「ビッグスピリッツ」1997年第47号から1998年第4・5合併号に掲載された作品。

 

 本作品の最初の絵は、ノンをかぶったアオザイ姿の山岡ゆうこ(旧姓・栗田)のカットの後、べトナムの街の絵となっているものの、「美味しんぼ・ベトナムの卵」は、前編・後編に分かれ、前編は東京が舞台となっている。ストーリーは、日本に住んでいるオーストラリア人女性ジュディが、山岡士郎・ゆうこの家を訪ね、相談する場面から始まる。ジュディが日本の大学に留学していた時の同級生のダグラス・ニミッツが、ジュディの恋人である団一郎が経営する大研社と、日本語版の共同刊行の話を進めていたが、ジュディも加わった3人の会食の席で、団一郎は、生卵を食べるのが野蛮だなどというダグラスの発言に怒り、雑誌の日本語版の共同刊行の話を破棄してしまう。山岡夫婦へのジュディの相談とは、団一郎の怒りをしずめるのを助けてというものであった。

 

 そんなときに、山岡士郎・ゆうこの勤める東西新聞社文化部に、日本の新聞事情を調査するためにベトナムからベトナム人女性グェン・キン・ニューが来日。彼女を交えた東西新聞社社員食堂でのベトナム料理の話題から、ニューの大好物「ホビロン」の話となり、山岡士郎は、団一郎に対するある仕掛けを思いつき、ニューの協力を求める。ベトナムの名物、孵化しかけていて、ひよこになる寸前のアヒルの卵をゆでた「ホビロン」を食べに行こうと団一郎に誘い、ニューやジュディたちの前で「孵化しかけた卵を食べるなんて、残虐だよ、醜悪だよ、無神経だよ、悪趣味すぎるよ!」という団一郎の発言を引き出す。「ひどいわ・・私たちベトナム人のことを、そんなふうに・・・」「私たちの好物のホビロンを、あんなふうに言うなんて、ベトナム人に対する不当な偏見だわ」と言うニューに許してもらうにはどうすればいいのかと、うろたえる団一郎に対し、言葉だけの謝罪じゃすまず、団一郎自身が、ホビロンを食べるしかないと、山岡は提案する。

 

 こうして、みんなでホビロンを食べにベトナムに行くことになり、「ベトナムの卵」後編は、舞台はホーチミンとなる。成田からベトナムに行くのは、山岡士郎、山岡ゆうこ、ニュー、団一郎、ジュディだけでなく、東西新聞社文化部の富井副部長とダグラスも加わる。ホーチミンに着いて、レストランでは、カー・コムという魚の空揚げ、サイゴン春巻き、ベトナム海鮮鍋などベトナム料理を食べたり、市場を見て回った後、いよいよ7人皆でホビロンを食べることになる。ホビロンがどんなものか知らない富井副部長の驚く反応がなかなかすごいが、「ひ・・ひどいよ、この店!とんでもない卵よこしやがった!ななな、なんと、ひよこに孵りかけた卵なんだ!」「なにい!ふざけるな!こんなものは人間の食べるもんじゃない!」とも叫んでいる。

 (本書の裏表紙写真)

 

 皆の初めて食べたホビロンは、美味しいというものだが、山岡士郎は、「これは予期せぬ味だ。卵の味でもない、鳥肉の味でもない、コクがあるけれどあっさりしている。カニの甲らの内側にへばりついている、薄皮の部分に似た味だ。ちょっと残酷な感じがしないでもないけれど、この頭の部分は、少ししゃくしゃくした歯触りで美味しいよ。」と語る。「偏見を抱かずに多民族の文化を楽しんだほうが人生豊かになる。」という、ホビロンを食べた後の団一郎の言葉が、この作品のメッセージだろう。

 

 団一郎や富井副部長のホビロンに対する発言よりも、そもそも騒動の発端となった、生卵がダメなダグラスの発言の方が強烈な気がするのだが。「どろっとして、生臭い匂いがして、べたべたして・・おおイヤだ!生卵を食べるなんて、そんな野蛮なことするのアメリカじゃ、ヘビだけですよ。日本人って、ときどきわけのわからないことをするんだよな。鯨を食べたがったり、生卵を食べたり、そんなことしなければ。もっと世界中の人から好かれるのに・・・」というのは、その発言の一部だ。

 

 尚、本作品で重要な役割を果たしている団一郎とジュディは、次の「美味しんぼ」ビッグコミックス第67集で、子供ができて2人は結婚することになる。この団一郎は、第29集に収められている「究極の弱点」から登場する「美味しんぼ」では準レギュラー的な人物で、初登場時は弱冠30歳でベンチャー企業で成功した若手実業家で、栗田ゆうこにアプローチしていたが、ジュディとは「美味しんぼ」ビッグコミックス第59集で、オーストラリアで出会い、激しい口論の末に互いに好きになっていた。

 

        ビッグスピリッツコミックス 『美味しんぼ 第66集・究極の紅茶』 目次

 

       ■第1話  『究極のメニュー』の真価!?

       ■第2話  真心に応える食品    

       ■第3話  出産のお祝い     

       ■第4話  ”究極の紅茶”<前編>,<中編>  ,<後編>    

       ■第5話  ベトナムの卵<前編>,<後編>  

       ■第6話  競馬で本年を占う!!