メコン圏の写真集・エッセイ・旅紀行 第26回

  本書掲載の主なタイ語

 

 

 ・ワンクンピーマイ(元旦)

 ・ソンクラン

 ・トゥルート・ジーン

   (中国正月)

 ・ソンテオ

  (乗り合いタクシー)

 ・ソーコーソー

  (年賀カード)

 ・ソーイ(横丁)

 ・ナム・オップ

 ・タンブン(功徳を積む)

 ・ナーム・トゥアム(洪水)

 ・メーナム(河)

 ・プラー・ブク

 ・メーナム・ソンシー

   (2色の河)

 ・ナーガ

 ・シンラパ・ワタナタム

   (芸術・文化)

 ・サムロー(三輪タクシー)

 ・タムルン(つる菜)

 ・ヤムウンセン

   (春雨の和え物)

 ・ジェック・ポン・ラオ

 ・マラコー(パパイヤ)

 ・カーン・タノン(道端)

 ・マホーラトゥッック

   (青銅の銅鼓)

 ・ジュアン(壮族)

 ・「コン・タイ・マイ・ダイ・

  マー・ジャーク・ナイ」

 ・ワー(話す)

 ・ソー・ソー・トー(泰日

  経済技術振興協会)

 ・サーイシン

  (聖なる糸または霊糸)

 ・プラクルアン

  (小さな仏像)

 ・チャウ(借り受ける)

 ・サーンプラプーム

   (スピリットハウス)

 ・ピー(守護霊)

 ・ホー・ピー(ピーの家)

 ・ガウ(数字の9、進む)

 ・ゲーレー(不良っぽい)

 ・コン・チャイまたは

  サーウ・チャイ

  (お手伝いさん)

 ・マイペンライ

  (大丈夫、気にしない)

 ・コートート(すみません、

  ごめんなさい)

 ・ジャイ・イェンイェン

   (冷静に、冷静に)

 ・バーン・チュクチューン

   (「緊急の家」)

 ・トムボーイ

   レスビアンの女性同

   士の間で男役をする

   女性

 ・コムクーン(強姦)

 ・ピー(年上のものに

   対する呼びかけ)

 ・イン・ボリガーン

  (サービス業)

 ・セーンダーウ

  (星の光り)

 ・ノーン(年下の兄弟)

 ・ルーチャクガンレーウ・

  トゥーワー・ペンピー・

  ペンノーン

 (知りあったら皆兄弟だ)

 ・トゥークパーク・トゥーク

  コー(気が合う)

 ・フェーン(決まった相手)

 ・ジェディサームオン

   (三仏塔峠)

 ・ナーラック

   (愛すべき人柄)

 ・プラ(仏陀、僧侶、国王

  などにのみ使う「高貴

  な」という意味の

  接頭語)

 ・ガイ・ヤーン(焼き鳥)

 ・クンポー(父)

 ・ノーン、ノーン

  (目下か年下に対する

  呼びかけ)

 ・ジャイブン(慈悲の心)

 ・シンボン(賄賂)

 ・コラプション(汚職)

 ・スー・

  クワームサドゥアク

  (便宜を金で買う)

 ・パーシン(サロン)

 ・コンイープン・ミー・

  ラビアプウィナイ

  (日本人は規律正しい、

  規律を良く守る)

 ・ナムジャイ(人情)

 ・チャート・ニヨム

  (ナショナリスト)

 ・ヒナヤーナ

  (小さな乗り物)

 ・メーチー(尼)

 ・ガム(業)

 ・バーツ(鉢)

 ・マハーテーラ

    サマーコム(大長老会)

 ・カーウ・ラートゲーン

  (ぶっかけ飯)

 ・ヤム(ライム(カボス)

  を絞り込んだ和え物)

 ・ソムタム

   (パパイヤサラダ)

 ・ラープ

   (挽き肉の和え物)

 ・マナーウ(ライム)

 ・プリッキーヌー

 ・ラーン・カーウトム

   (お粥屋)

 ・トゥックテオ

   (長屋式商店)

 ・プーパッポンガリー

  (蟹のカレー粉炒め)

 ・プラー・チョン・ペッサッ

 ・パックブン

   ファイデーン

 (空心菜の味噌炒め)

 ・ナンプラー

 ・パッカナ・ムーグロープ

 ・パッカナ・プラーケム

 ・グィッティアウ・

   ラートナー

 ・シーイウ(中国醤油)

 ・ガポ・プラー

   (魚の浮き袋)

 ・カーウパット

   (チャーハン)

 ・ゲーン

 ・カーウ・ゲーン

   (ぶっかけ飯)

 ・ゲーン・ルアン

 ・ケーン

 ・ワーン(甘み)

 ・ペット(辛さ)

 ・プリアウ(酸味)

 ・マカーム(タマリンド)

 ・ヤム(混ぜる、あえる)

 ・プララー

 ・メンダー(タガメ)

 ・サナームモアイ

 ・ソムタムタイ

 ・ヤム・ヌア

  (牛肉のヤム)

 ・ヤム・マクア

  (ナスのヤム)

 ・ピン(弦楽器)

 ・サーウ・イサーン・ロー・

  ラック(イサーンの娘は

  恋人を待っている)

 ・グィッティアウ

  (米で作るうどん)

 ・チョープ・アハーン・タイ・

  マイ?(タイ料理は好

  きですか?)

 ・センミーナム

   (汁ビーフン)

 ・パートンコー(油条)

 ・センレック

 ・センヤイ

 ・バミー・ヘーン

 ・ムーデーン(焼き豚)

 ・カーウマンガイ

 ・ナムチム(たれ)

 ・バイトーン

   (バナナの葉っぱ)

 ・ホイマレンプー・トート

 ・シン(獅子)

 ・ルークチン

 ・ナーイナー(ブローカー)

 ・クルー(先生)

 ・アップ・ナム(水浴び)

 ・トック・キアウ

  (”青田買い”)

 ・カーイ・ボリガーン

  (売春)

 ・サマーコム(協会)

 ・ガーン・コットキー・

  ターン・ペート

  (性的な抑圧)

 

 

 

        

 

 

  『ソムタムの歌 わたしのタイ30年』 

        

     荘司和子 著

 

     筑摩書房、1996年2月発行

     

 

 

 

     ≪著者紹介≫ 荘司和子 Shoji Wako

 

   1965〜67年、国際基督教大学教会派遣のボランティアとして在タイ。日本における

   タイ語通訳の草分けで現在は会議通訳もつとめるかたわら、和光大学と朝日カルチャー

   センターの講師をつとめる。

   著書に『マイペンライ −タイ語ってどんなことば?』(筑摩書房)、『日常タイ語会話』(

   語研)、訳書に『カラワン楽団の冒険』(晶文社)その他。

 

                  (本書紹介文より。本書発刊当時)

           

 

 本書は、日本におけるタイ語通訳の草分けで、多くのタイ語学書の著書以外にも、『ジット・プミサク 戦闘的タイ詩人の肖像』(1980年刊、鹿砦社)の編訳、『カラワン楽団の冒険』(1983年刊、晶文社)などのタイ関連書の著者として知られる荘司和子氏による、タイの人々や社会についてのエッセイ。1996年2月発行の本書タイトルの副題に「わたしのタイ30年」とあるが、著者の初タイは、1965年で、その昔、スクンビットのワタナ女学校(ワタナ・ウィタヤライ)で英語講師をされており、以来長年にわたり、タイに関わりタイを見続けてこられた著者によるもので、以前のタイと最近のタイの違い・変化などにも触れられ、著者自身の身の回りの体験・エピソードも交えた話は読みやすく親しみやすい。

 

 本書が誕生するいきさつについては、あとがきに記載されているが、きっかけは、1989年12月に筑摩書房から発行された『マイペンライ -タイ語ってどんなことば?』(荘司和子著)。この本がずいぶん人気があり、『マイペンライ』第2弾をつくりエッセイでタイ語について語るという依頼が、同じ出版社からあったが、タイ語の特色に限定したエッセイではなく、エッセイを通して広い意味での文化やタイの現実を紹介したいという著者の提案が採用され本書が生まれている。ただ出版社からの注文は、タイ料理とタイ語について書いた章を入れるという事と、「おもしろくてためになる情報がたくさん入っている」というものだったとのことで、出版社からの注文どおり、話題は幅広く、面白くてためになる情報が20章にたくさん盛り込まれている。

 

 その内容は、1年に3回あるタイの正月の様相、洪水、タイ族の住まい方と水の関係、メコンという名前とコーンの語源、メコン河大なまず、メコン河とプラー・ブクにまつわる言い伝え、メコン河流域のナーガ伝説、サーイシン(聖なる糸または霊糸)、タイで会社で人を雇う大変さ、お手伝いのはなし、タイ王室、チップのはなし、富の分配・収入の格差、汚職、外国人の労働許可証、タイ人の見る日本人、歩き方、周囲の人への関心や規律についての日本人とタイ人との違い、交通ルール、タイの仏教、ヤントラ僧のセックス・スキャンダルと還俗騒動、コメ騒動、タイ米、うるち米ともち米、ラッタナゴーシン島、ヤワラ街、タイ料理、屋台、タイからの海外出稼ぎ、何故パヤオは売春業に入る女性が多いのか?タイの女性の社会進出、華僑、女性観、4月13日が新年になるとは一体どういう暦に基づいているのか? ソンンクランが国民的行事として祝われるようになったのはいつ頃からか? タイ族はどこから来たのか、それともどこから来たものでもないのかなどなど、多岐にわたっている。

 

 本書タイトルの「ソムタムの歌」は本書20章のうちの1章のタイトルで、「ソムタムの歌」とは、シリントン王女が作られた歌でその歌詞の日本語訳が付いている。王女の自然体で気のおけない愛すべき人柄と深い知性のファンになった著者が、プミポン国王やシリントン王女について書いている。また、「タイ族はどこから来たか」という章では、総合文芸誌『シンラパ・ワタナタム(芸術・文化)』のスジット・ウォンテート編集長を訪ね、いろいろ話を聞いたことが紹介されている。「純粋なタイ人だとか、純粋なタイ料理だとかって、純粋な物なんて何もありゃあしないよ。」と語るスジット・ウォンテート氏の話は、面白い。食べ物の話から、ラーマ1世はモーン(Mon)族の富豪の娘を王妃とし、息子であるラーマ2世は南部のイスラム系(マレー系)の娘を王妃に迎え、その息子ラーマ3世の王妃は中国系というようなタイの王様の話に飛び、それからタイ人、タイ語族の話など、本書には詳細には紹介しきれていないが、興味深い話が次々と展開された様子が伺える。

 

 本書の目次タイトルだけでも、「水に親しむ民族」とか「メコン河とナーガの伝説」とか「タイ族はどこから来たか」といった興味を惹くタイトルが並ぶが、「ある客家の将軍 葉俊鑫」というタイトルも、一体誰なんだろう?と気になった。この章も、著者が日本人グループから通訳を頼まれ、ビルマとの国境地帯まで同行する事になった華人が、ビルマのモーン(Mon)州解放のために生涯を捧げてきた在タイの中国系タイ人であったという話。葉俊鑫という華人の名前とは別にタイ市民としてタイ名があり、ビジネスマンであるが、祖母がモーンでラーマ5世の侍医の娘で、祖父が客家で広東省梅県の出身というモーン族の血を4分の一引いた客家で、1925年生まれの元軍人。1951年、26歳のとき始めてモーン州に行く機会があり、当時モーン族も自治州設立を求めて反政府武装闘争を開始していたため、モーンの大僧正からモーンを離れないでほしいと乞われ、モーンに軍事教育の場を作り、将軍として司令官を勤める傍ら正規の軍事教育を受けた後継者を育ててきたという人物とのことだ。

 

 本書の出版企画が持ち込まれた時、著者が関心があり書きたいと思っていた事は、日本に来て働いているタイの女性たちのことだった、とあとがきにあるが、本書でも「ダーウ 星という名の女」という章で、日本に出稼ぎに来ている女性たちが一番多い、タイ北部のパヤオ出身のタイ女性と著者との交流の話が書かれている。また、人身売買組織に売り飛ばされて、日本に連れてこられ、気が付いてみると”いわれのない借金”を何百万も負わされ、その返済のために軟禁状態で強制的に売春させられる、という日本の新聞にしばしばある「いつものシナリオ」での報道に対しては、当事者であるタイの女性たちと何人も話をしている著者は、少し違った見方をしており、著者の実体験も踏まえた見方は、「盲流」するタイ女性という章で紹介されている。

 

 タイ料理とタイ語について書いた章を入れる、という出版社からの著者への注文にも、ちゃんと応えられている。「タイ語はむずかしい?」というタイ語教授と学習そのものについての章が用意されているうえに、社会や文化についての各章のエッセイでも、タイ語やタイ語にまつわる説明が盛り込まれていて、タイ語に関心がある人にはためになるはずだ。東京外大・大阪外大以外でタイ語を教えている学校が日本にはなかった頃の話も書かれ、アジア・アフリカ語学院で1976年にタイ語講座が登場し、タイ語専門家として知られる吉川敬子氏と一緒に著者がタイ語を教えることになったことも本書で初めて知った。タイ料理についても、「わたしの好きなタイの味」「屋台で楽しめる味」という章で、いろんなタイ料理や屋台の話に及び、「源利」「ソンブン」「イサーン・クラシック」「バーン・ラオ」といったタイ料理の店の名前も挙げられている。


               本書の目次

 

 

    T. タイのお正月

        水に親しむ民族 

        メコン河とナーガの伝説

        タイ族はどこから来たか

        タイ語はむずかしい?

        サーイシン

  

    U. お手伝いさんとくらす

        ダーウ 星という名の女 

        ある客家の将軍 −葉俊鑫

        『ソムタムの歌』 プリンセス・シリントン

 

     V. チップのはなし

        大きなコラプション、小さなコラプション 

        タイ人の見る日本人

        信心深いのは日本人?

 

     W. コメ騒動

        わたしの好きなタイの味 

        屋台で楽しめる味

  

    X. 「盲流」するタイ女性

        パヤオの活動家 

        タイの女性は「象の後足」?

 

    あとがき

    地図