『竜王のメコン河』

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                    = 仏教関連 =                

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 関連テーマ情報C

  タイで行脚の実践を広めた先駆者

      マン・プーリタットーと行脚・瞑想止観

       (1871年〜1949年)

 

  タイで「森の僧」とか「行脚僧」(プラ・トゥドン)と呼ばれる僧は、町や村の寺に住む僧侶ではなく、瞑想を実行するために静寂な場所を求めて歩く僧侶である。

  紀元前543年の頃、北インドでシッタルダ王子は王宮生活を離れて出家し、涅槃に至る道を求めるため、森に分け入り静寂な場所を求めて行脚し、長い年月の末についに仏陀として大悟する。この行脚の実践は、タイの僧侶には広く受け入れられたが、20世紀にタイで広めたのが、マン学僧(アーチャン・マン)である。

 

  マン学僧は、1871年、東北タイのウボンラチャタニに生まれ、ラオ人の両親を持つ9人兄弟の長子であった。1893年、22歳の時、ウボンの寺で出家し、プーリタットーとパーリ語の命名を受け、1949年に亡くなった。プーリタットー師の教えには、行脚と瞑想止観という2つの重要な実践が強調されている。

 

 プーリタットー師の行脚の実践法則は、森の木の下か洞窟の中で瞑想を行い、村に托鉢の鉢を持って入り、村人の自由意志による食べ物だけを受け、瞑想を実行している場所では食事を受けず、鉢で受けたものだけを食し、しかも一日一食、それに身体全体を覆う上衣を含む三衣だけを所持することだった。これらの法則は、全ての贅沢を廃して、僧は生きていけるだけのもので満足することを意図していた。行脚僧は、飢え、病、不便などの困難を耐えなければならず、三衣のほかに行脚僧が所持できるものは、頭と眉を剃る剃刀、水碗、仏法の本、日除けの傘、托鉢の鉢、蚊帳だけで、自分で持ち運べるものだけを所持した。

 

 またプーリタットー師が導入した瞑想止観の基本は、仏法を信じ、勤勉、忍耐を続け、絶えず瞑想止観を続けること;すべての感情を抑え、安定して精神を集中すること;仏法の智恵を会得することであった。瞑想止観の目的は、心の完全な平安を得て、あらゆる煩悩から解脱することであった。

 

 

  関連テーマ情報H

  在家戒(5戒と8戒)と出家戒

      

 戒(原語は”シーラ”)は、自らを戒めるために課し、心身に良い習慣をつけるためのもので、在家の仏教徒が守る戒律(在家戒)は、以下の5戒である。

  (1)「不殺生」・・生きものをもろさないこと

  (2)「不偸盗」・・盗みをしないこと

  (3)「不邪淫」・・夫婦関係以外の淫らな情事をしないこと

  (4)「不妄語」・・嘘をつかないこと

  (5)「不飲酒」・・酒を飲まないこと

 タイ語では”ベンチャシーン””シーンハー”という。

 

 またこの5戒に加え、適時(陰暦の8,14,15日)には、上述の5戒に加え、以下の3戒が加わった8戒が、在家の仏教徒が守るべき戒である。

  (6)非時(食物をとってはいけない時間、正午過ぎから

    翌日の日の出までの間)に水以外の食事を摂らない

  (7)香水や装飾品をつけない。

  (8)高い寝床や贅沢な寝床につかない

 タイ語では”シーンぺート”という。

 

 更に、出家者の戒(出家戒)としては、以下の戒がある。

 ●227戒(比丘戒、大戒、具足戒)・・・比丘(出家して具足

     戒を受けた20歳以上の男性修行者)の守るべき戒

 ●348戒(比丘尼戒、大戒、具足戒)・・・比丘尼(出家して

     具足戒を受けた20歳以上の女性修行者)

 ●10戒(沙弥戒、沙弥尼戒、小戒)・・・沙弥(具足戒を受

     けれない20歳未満の男性出家者)、沙弥尼(具足戒

     を受けれない20歳未満の女性出家者)の守るべき

     戒。在家の8戒に以下の2戒が加わる。

    (9)舞踊・歌謡・器楽を楽しむことの禁止

    (10)金銀貨幣を持つことの禁止

 ●6法戒(正学女戒)・・・正学女(20歳以上の既婚女性で、     

     出家はしているが、いまだ比丘尼の具足戒を受けて

     いない修行者)の守るべき戒

     在家戒の5戒に8戒の(6)が加わる。

 

 本書では、メコン河架橋工事の現場監督の謎の死のため、後任になった主人公デーブ・ションが、不思議な事件が起こり怯えて仕事にならない工事作業員達にどうしたらいいかのアドバイスを、ワースックリー師僧に求める場面で関係する。

 

 ちなみに、ワースックリー師僧が話し終わると、黙って聞いていた工事作業員達は、3回”グラープ”して僧に敬意を表する。このタイ語”グラーブ”は、座って額の高さに合掌してから頭を下げて床につけて敬意を表すという意味の動詞である。

 

             (第10章参照)