「祈りの環 ~ミャンマー」
第3回 「僧侶」
「大学生の頃、好きな女の子がいたんだ」
僧院近くの大きな木の下でキラサ師が答えた。
まだ30代の彼はミャンマーの僧侶にしては珍しく英語が達者だ。堕落した僧侶が多くなったと批
判する彼。一人で森の中で瞑想することが将来の希望だとも答えた。
そんな彼についつい俗っぽい質問をしてしまったのだ。いたずらっ子が白状するように、にこっとし
ながら答えた。そこに、遠くを懐かしむような目をしていると感じたのは、私の錯覚だったのだろうか。
僧侶と話すときはちょっと身構えていた私だったが、それ以来、気軽に接することができるようになっ
た。村の人たちも僧侶たちに祈るために、そして世間話をして笑うために僧院にやって来ていた。